2018.09.14 Friday
File.38「Changeling−妖魔の取替え児−」
19世紀末のスコットランド
エディンバラにある閑静な病院で事件は起こった
代々継がれてきた稼業の貿易商を営むモリス(仮名)31歳
そして妻のバーバラ(仮名)24歳
彼ら二人の白人夫婦が授かった第一子は
・・・黒人の赤ん坊だったのである
鬼女板ならずとも血で血を洗う修羅場待ったなし
白人と黒人を掛けたらグレイになるとゆーネタはさておき
通常は優性遺伝の法則により黒人が優先される
母方の祖父という隔世遺伝で
白人夫婦から黒人の赤ん坊を得るには
白人の母親が生まれる際に
優性遺伝の確率を覆さなくてはならない
その数字およそ100万分の1とか何とか
そんな科学的論拠など思いもよらなかった時代には
Changelingと呼ばれる悪戯妖精によって
胎児のうちに取り替えられてしまうという
ファンタジーに縋るしか母親の頼る弁明がなかったのだろう
奇しくもChangelingの伝承はイングランド地方が起源である
英国人と黒人の関わりは16世紀以降の大植民地政策から始まり
ナイジェリアを初めとする西アフリカへの
大規模な入植が繰り返された
Changelingについてはダウン症や先天性症候群は元より
不逞の責任転嫁に至るまで
あらゆる都合の悪い事実すら織り込まれたのは言うまでもない